整形外科
膝蓋骨内方脱臼
パテラ(膝蓋骨)の疾患で、小型犬では内方に脱臼することが多くとつぜん後肢を痛がる、スキップをすること
があるといった症状をとります。程度は様々で時々外れるくらいから常に外れていて触っても戻らないくらいひど
いものまであります。通常は内服で治る疾患ではなく手術が必要になります。
上のレントゲンの黄色い矢印の楕円形のところが膝蓋骨です。内側によってしまっており、骨格も歪んでいます。
右のレントゲンは手術後でピンが刺入されていますが、膝蓋骨は真ん中にはまっています。骨格もまっすぐになっ
ているのが分かります。脛骨結節転移術、滑車造溝術など症例に合わせていくつかの方法を組み合わせて手術を行
います。可能であれば刺さっているピンは数か月後に抜去します。
すべてのパテラ内方脱臼の子が手術になるわけではありませんがグレードⅢ(常に外れている)子は積極的に手術
を考慮してもらっています。

骨折 1
動物たちも思わぬことで骨折してしまうことがあります。折れている場
所、折れ方により様々な整復法があります。下のレントゲンはよくある整
復法でプレート法といいます。骨折してもずれていない場合は外固定で治
る場合もありますが、このようにずれてしまった場合は全身麻酔下で手術
になることが多いです。


骨折2
この症例は中手骨骨折で4本折れています。
1本のみの場合や場所によっては手術をせず外固定で経過をみることもありますが、この場合は外固定で回復する見込みは低く、手術を行いました。

骨折した骨の幅は2.5mmほどでプレートを設置するには骨幅が狭すぎたため、ピンニング法を選択しました。ピンは直径0.8mmを用意しました。
遠位より近位に向けて関節を貫通しないように挿入し、のちに抜去する予定で遠位端は骨の外に出し、曲げています。この後数日から数週間おきに細かくレントゲンを撮りながらずれていないか確認しながら経過を観察しました。

ピンを挿入したままだと骨折部位は癒合しても細くなり、再骨折を起こしかねません。そのため、ピンを段階的に抜去し、抜去した部位の骨が再骨折しないように外固定も併用し慎重に経過をみていきます。
最終的にはすべて抜去し完治にいたります。
レッグペルテス

犬のレッグペルテス病は大腿骨頭への血液供給が乏しくなることで起こります。
原因は遺伝・血管構造など様々なことが言われていますがはっきりとしたことは分かっていません。
内科的な治療では治癒することはなく、外科的治療が対応になります。大腿骨頭切除術といい、骨盤につながる関節(股関節)を形成する大腿骨頭を切除します。
本来の関節を戻すことはできませんが、痛みからは完全に解放されるのと、歩様もほぼ正常と変わらないほどに戻ります。
